太宰治の「グッド・バイ」を読んでみたpart2

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 こんばんは。himayomibitoです。

 今日読んだのは「グッド・バイ」に収録されている「男女同権」「冬の花火」「春の枯葉」の三作です。

 

 

 

 

 

 まず「男女同権」ですが、これはタイトルにいい意味でだまされました。この作品が書かれた時代は、戦争が終わり、不当に扱われていた女性も男性と同じ権利をもち、対等な関係になり始めているときだから、そんな中の女性たちについて書くのかな~と思って読んでみるとと、その逆!!!

 

 

 

 

 「女性からとてもひどいことをされてきた主人公にとって、ようあく同権となり、遠慮なく悪口を言える、訴えることができる」とあるのです。。。

 これは、女性に恐怖していた太宰治だから書ける話だな~と思いました。

 

 

 

 

 「冬の花火」「春の枯葉」は戯曲です。この2つは、戦後の日本の未来を憂いていたときに書かれた作品だそうです。解説には、敗戦によって、古き悪しき日本(おそらくエゴイズム、偽善、けち臭さ)の根源が滅亡すると思っていたが、結局変わらなかった日本を、太宰は悲しんでいたようです。

 

 

 

 

 「春の枯葉」の中に、「(雪が解けて昨年の秋に落ちた枯葉が現れたときに)長い冬の間、昼も夜も、雪の下積みになって我慢して、いったい何を待っているのだろう」という記述にも見られますね。

 

 

 

 

 また、「人間がだめになった。大理想も大思潮も、タカが知れている。若い者は、自己についての空想は、少しももっていない」という文からは、理想的な社会(太宰が具体的にどのような社会を考えていたか、まだ私もよくわかりません)を追い求めていたが、エゴイズムが強くなっていき、人は人、自分は自分、自分の身の周りだけしっかりしていればいいという人が増えていることを嘆いているのがよく分かります。

 

 

 

 

 この作品を読むと、エゴイズムや偽善ってそもそもいつからあるのだろうか?

 それは、人間が生物として生存競争に勝つために必要で、ずーっと過去から身に付いてしまっているものだから、戦争なんかで根絶されないのか、など色々と考えました。

 

 

 

 小説って、その世界に自分が入り込んで、作者が訴えたいことについて、作品を通して一緒に考えていけますよね~。。。やっぱ、読書大好きです(笑)

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